ａｗｋはテキスト処理のための強力なプログラミング言語、あるいはスクリプティング言語です。汎用のＣ言語のように、コンピュータ上のどんな仕事でも、というわけには行きませんが、テキスト処理に特化しているために、この分野では、Ｃ言語などよりもずっと生産性は高いといえるでしょう。又、同じくテキスト処理を得意とするPerlが、最近ますます機能を拡張するとともにに、規模も大きくなって、使いこなすのがかなり難しくなりつつあるのに比べると、はるかに短い時間で、大きな収穫をあげられるのがａｗｋです。ａｗｋとその姉妹ともいえる検索置換のエキスパートであるｓｅｄ（これも習得はさらにやさしい）を学べば、テキスト処理の分野でこまることはなくなるでしょう。

「文系のための」と名づけたのは、コンピュータに苦手意識をもちやすい文系人間を励ますためでもありますが、本当をいうとプログラミングというのは、言葉を操ることであり、コンピュータと対話することであると考えれば、むしろ文系の仕事というのがふさわしいのです。数学や物理、化学などより、国語や英語の方が成績がよかったという人は自信をもってください。ａｗｋ語は英語の習得に比べると何十分の一かの努力で成果がえられます。覚えるべき単語は１００もありません。文法もわずかです。中学一年の間に覚える英語の何分の一かですんでしまうわけです。

ただ相手は、コンピュータですから融通がききません。人間相手であれば

Ｈｅ ｌｏｖｅ ｍｕｓｉｃ ．

この講座は、ａｗｋのプログラミングの手法、文法やイディオムを中心に、主にどう使うかという点に焦点を当てた入門編です。筆者の経験からいうと、プログラミングに経験のないひとにとっては、最初の一歩が一番困難だからです。たとえばＤＯＳのａｗｋを手に入れても、いったいどう動かしたらいいのかは皆目検討もつきません。ダブルクリックしても一瞬ＤＯＳ窓が開いてすぐに閉じてしまいます。ヘルプもついていません。まったく取っ掛かりすらみつかりません。これがエディタであれば、ウィンドが開いてそこに文字を入力して保存すればいい、ということはだいたいコンピュータを使っていれば推測できます。しかしプログラミングという領域がはじめてであれば、なにからはじめるのかすらわかりません。またもともとｕｎｉｘ上で開発された言語であり、unixで使うことを前提に書かれた参考書はあっても、ＷｉｎやＭａｃ上でどう使うかということが書かれた書物は殆どありません。かろうじてＤＯＳ用の解説書が筆者の知っている限りで一冊あるだけです。

従って、目標はａｗｋを動かして、簡単な作業ができるようになるということと、そのためにａｗｋというプログラミング言語の文法と語彙の最も重要なものを習得するということです。そうして、さらに将来複雑な作業をおこなう必要に迫られたときには、自力でａｗｋの文献を読んで解決策を見出せるようになっていただきたいということです。

手元にａｗｋの処理系を用意して実際に動かしてみてください。筆者のホームページからダウンロードできるようにしてあります。

ただ少し注意しておきますと、Ｗｉｎｄｏｗｓ上でａｗｋを動かそうと思えば、現在ではＤＯＳ窓を開いてコマンドを打ち込むという面倒くさい方法をとらなければなりません。これが最初の障害になりますし、実際に能率よく仕事をこなそうと思えば、かなり鬱陶しい事になります。それで筆者は、コマンドプロンプトを使ったり、バッチファイルの作成などと言う面倒な作業なしで、ＷｉｎｄｏｗｓのＧＵＩの環境でａｗｋを動かし作業できるように、ａｗｋ用のインターフェイスを組み立てました。それを使うと、若干の作業のわずらわしさを免れることができます。「おーくの友だち」というユーティリティですが、これもこのホームページからダウンロードできるようにしてあるので、インストールして使ってください。（ダウンロードページ -> Ｗｉｎのおもちゃ